2012年4月4日水曜日

3-01>師走の「第九」コンサートはなぜ盛んになったのか

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<01>


日本の師走の恒例行事といわれるほど全国各地で盛んに開かれる「第九」コンサート。
大規模なものでは1983年から毎年「大阪城ホール」で開かれている『サントリー1万人の第九』といった、天を揺るがすような大合唱もあります。
総監督・指揮は現在二代目となる佐渡裕さん。毎年、著名なゲストを迎え、07年は中島美嘉さん、10年、11年は平原綾香さんといった実力派シンガーが参加。さらに被災地・仙台の合唱団200人も現地から中継で加わり、鎮魂と復活を祈って高らかに歌い上げました。話題性も高く、名実ともに日本一の規模と人気を誇る「第九」コンサートです。

でも、なぜ「第九」コンサートがこれほど盛んになったのでしょう。もちろん、聴衆の心に響く「第九」の音楽的な魅力が大きいというのは当然あるのでしょう。
しかし、それ以上に「第九」コンサートは出演者にとっても魅力ある音楽イベントです。なぜなら、普段めったに味わえない、二つの「感」を強く感じられるからです。

一つ目の「感」、それは大合唱による「一体感」。みんなで心を一つにして何かに取り組むなんて、大人になってからはなかなか経験できることではありません。
社会学者デュルケムは「集合的沸騰は人が経験しうる最高の至福」といいますが、この「集合的沸騰」とはまさしく一体感による気持ちの高揚です。そんな至福の時を味わえる希少な機会。それが「第九」コンサートへの参加というわけです。

二つ目の「感」は歌いきった後の「達成感」。叱咤激励したりされたりしながら、練習を積み重ね、最後に大舞台で感動のフィナーレを迎える。そんな明快な「ゴール」が、「達成感」をもたらしてくれます。
出演者に「一体感」と「達成感」をもたらすことが「第九」人気の要因と考えられますが、ただ、ビジネスの視点からすると、「第九」が盛んに開催されるようになった理由はもう一つあります。「集客が見込める」という理由です。

なぜ集客が見込めるのか、それは数百人、数千人もの人たちが出演するということを考えればわかりますよね。出演者が多ければそれだけ見に来てくれる家族・親類・友人・知人も多くなる。これが大きい。だから「集客が見込める」というわけです。
一説によると、「第九」コンサートが年の瀬の恒例行事として日本全国で開催されるようになったのは、実はオーケストラの楽団員たちが越年資金を調達するためだったとか。つまり「集客が見込める」から実入りも確保できる、よって餅代が稼げるという計算あってのことだったといいます。

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