2012年4月4日水曜日

3-11>人にとっての最大の関心事とは何か

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<11>


こうした口コミを誘発させる楽しい仕掛けを作ってヒットを狙うマーケティングは「ヴァイラル・マーケティング」とか「バズ・マーケティング」と呼ばれていいますが、広い意味では「コミュニケーション・デザイン」という枠組みに入る考え方です。

前述した、コンサート後にロビーをコミュニケーション・サロンにするという案もそうですが、コミュニケーションのきっかけやネタを作るのは大切なことです。
「コミュニケーション・デザイン」の描き方次第で、コンサートの集客にも、CDの売上にも、プロモーションの成果にも、大きく影響します。

では、具体的に「コミュニケーション・デザイン」をどんなふうに描けばコンサートに関心を持ってもらえるのか。そんな一つの事例を紹介しましょう。

それは、大学主催の全曲オリジナル作品ばかりという年末恒例のコンサートでのこと。
演奏するのは地元では著名なオーケストラですが、曲は作曲コースの学生たちによる作品なので、だれも聴いたことのない未発表曲ばかりです。
そんな無名の作曲家たちが作った、馴染みのない音楽を、お金を払ってまで聴きに行こうという人はそうそういません。

であるなら、「関心」を持ってもらうことが先決です。そこで彼らの曲に「関心」をもってもらうための「きっかけ」を作ろうと考えました。

広告・マーケティングの業界では「関心」を引くための「きっかけ」を「フック」と呼びます。
「えっ、それって何?」と思わず振り向いてしまうような「注意」を引くアイキャッチや耳キャッチ、そして「興味」をわかせる仕掛けが「フック」です。
心に引っ掛かる何かを作らないと、どんなに素晴らしい商品でも当然ながら日の目を見ません。

そこで、「人って何に関心があるんだろう」、という素朴な問いからはじめました。
もちろん関心事は人それぞれでしょうが、最も普遍的で根本的な人にとっての最大の関心事は何だろうかと。

あなたは何だと思いますか?ちょっと考えてみてください。次の3つのヒントを参考に。
ヒント①…書店で2007年から2008年にかけてベストセラーになった話題の本といえば「B型自分の説明書」という書。その後シリーズ化され、O型やA型の本も出版され相次いでベストセラーになっています。
ヒント②…東名高速のハイウェイオアシス刈谷には、皆なぜか足元を見ている不思議な場所があります。足元にあるのは、この地域の巨大な航空写真。彼らがその写真の中から探しているのは自分の家、学校、職場だったのです。
ヒント③…みんなで撮った記念写真。まず誰を最初に見ますか?グーグルアースをはじめて使った時、最初にどこを見ましたか?

これがヒント。もうおわかりでしょう。
ヒント③のケースでいえば、ほとんど例外なく集合写真を見る時、「自分」「自分の家」を最初に見ませんか?
つまり、人にとって最大の関心事は「自分自身」。それが普通の人間の行動パターンなのです。

ちょっと前置きが長くなりましたが、この「自分自身への関心」、これをこのコンサート集客のための「フック」にしたのです。

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