第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<30>
専用劇場でロングラン公演というステージ・エンターテインメントビジネスが成功している一方で、
公共ホールなどの多目的な会場の多くが苦戦しています。
専用劇場というのは劇団四季の「キャッツ」専用の円形劇場をはじめ、
東京ディズニーリゾート隣にオープンしたシルク・ドゥ・ソレイユ専用の「シアター東京」、
また「BLUE MAN GROUP」のために作られた六本木の専用シアター「インボイス劇場」など。
ちなみにBLUE MANは大量に水を使うためステージには排水溝まで装備され、
前列席には水が飛んでくるのでポンチョ着用のシートまであるくらいです。
ただ、こうした専用劇場でのエンターテインメントが連日多くの観客を集めているからといって、
公共ホールなどの多目的施設を専用劇場に作り替えるわけにもいきません。
お金もかかり、リスクもあるから、そう簡単にはできません。
だったら、こんなふうに考えてみてはどうでしょう。
専用劇場「成功のエッセンス」を採り入れられないか、と。
では、専用劇場の成功エッセンスとは何でしょう。
月並みな言い方をすれば「特色」を出すということ。独自性、斬新性です。
さらに、その「特色」とは何かと言えば、観客に新しい「経験」を提供することです。
驚きや意外性のある「経験」。コミュニケーションしたり参加できたりする「経験」を。
例えば、最近では演劇や映画で「香り発生装置」を採用し、
シーンに合わせて香りを発生させるといった試みも見られます。
映画「チャーリーとチョコレート工場」を上映した一部映画館では甘いチョコレートの香りを、
また芝居の特定のシーンになると花の香りを場内に漂わせて臨場感を高めているステージもあります。
視覚、聴覚、嗅覚とくれば次に考えられる「経験プログラム」といえば「触覚」。
その触覚に働きかけた例もあります。
音楽のビートを身体で感じられるシートを用意した映画やコンサートもそうですし、
また、聴覚障害者を招いたコンサートでバルーンを用意し、それを膝の上に抱えてもらい、
音楽を身体で感じられるようにした例もあります。
すごくシンプルな方法ですが、これはこれでとても素敵な「経験プログラム」だったのではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿