2012年4月4日水曜日

3-14>マイ打楽器を作って参加するオークヴィレッジの森の音楽会

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<14>



そんな参加型のコンサートの例をもう一つ。
飛騨の山中、木立に囲まれた爽やかな森の広場で開かれる夏の野外コンサートがそれ。
主催するのは高山市清見にある工芸村「オークヴィレッジ」。
家具など木工製品を手作りしている有名な工芸村です。

ちょうど、ぼくが行った年は司会に永六輔さん、出演は元「ハイファイセット」で活躍されていた山本潤子さん。彼女は代表曲「フィーリング」で紅白出場しているほか、ユーミン(松任谷由実)のナンバーも何曲かカバーしている、ぼくたちの世代にはとても懐かしい歌声です。

ステージには、オークヴィレッジ代表の稲本正さんも所々で登場し、永六輔さんとの絶妙な掛け合いトークで楽しませてくれました。
稲本さんは自然保護に関する講演やフォーラムに引っ張りだこの人なので、テレビなどで顔を見たことのある人も多いと思います。
この日も木のこと森のことをいろいろお話ししてくれました。
そしてもう一人の出演者がマリンバ奏者の能登弓美子さん。森の音楽会で子供向けの「参加型プログラム」のステージを勤めるのが能登さんです。

「参加型プログラム」は能登さんの演奏にあわせて子供たちがパーカッションで参加するというものですが、しかし、それだけではありません。
パーカッションのときに使う打楽器。それを手作りする体験プログラムも用意されていました。

会場入り口の作業小屋がその工房です。
間伐材と工具が置いてあり、そこでオリジナル打楽器を手作りするのです。
その時、ぼくと息子はスタッフのアドバイスを受けながらトンカチ(木槌)のような打楽器を作りました。
トンカチの頭にする太めの枝(幹)に穴を開け、その穴に細い枝を通して柄にするという簡単なもの。
しかし慣れないことなので結構大変です。それでも息子は嬉々として打楽器作りに没頭します。

作ること自体楽しいことですし、それが自分のものになり、しかも今からこの楽器を使って演奏に加わるんだという期待感があったからだと思います。
この音楽会には聴く楽しみだけでなく、マイ打楽器を作る楽しみと、使う楽しみがあったのです。

さてここまで見ただけでも、この音楽会には学ぶべき点が多いことがわかります。
まずコンサートを企画する時、ついステージの演出をどうしようかという観点ばかりに目が行ってしまいがちですが、開演前にも楽しめるプログラムがあってもいいということ。
しかも、そうすることでこれから始まるコンサートに自分が参加するんだという意識や期待感が高まる。
そういう効果も期待できるのです。

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