第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<26>
コンサートの「期待(感)」と「満足(感)」を高め「継続」を促すためのコミュニケーション・デザインを音楽業界の事例から見てきましたが、もう少し視野を広げ、音楽以外の業界を見てみましょう。例えば、プロ野球。
ここ数年来、観客動員に苦心してきたプロ野球は「セ・パ交流戦」や「クライマックスシリーズ」の導入などさまざまな改革を実施してきましたが、他にも球団毎に独自の動員策を展開しています。
その動員に効果的だったとされるのがファンとのコミュニケーション・プログラム。
ゲーム開始前に選手と観客がふれあえる時間を設けたことで観客動員を回復させたのです。
それくらいコミュニケーションは大切なプログラムなのです。
音楽の世界でも同じだと思います。それを見習ってはどうでしょう。
例えばオーケストラの中にはリハーサルを公開する楽団があります。
ならば、そのリハーサルの前後に少しの時間でもいいから「ふれあいタイム」を設けてはどうでしょう。
楽器や楽曲、演奏に関する疑問、あるいはもっと個人的なことでもいいと思いますが、見学者からのいろいろな質問に答えるとか、いっしょに写真を撮らせてあげるとか、そんな交流できる時間を持つことも考えられます。
また、本番会場でのリハーサルやゲネプロの時には「バックヤード・ツアー」を行い、普段見ることのできない舞台裏や団員の素顔なども紹介する。
そういったコミュニケーション・プログラムを実施すれば有効なファンサービスになるはずです。
そのお手本になりそうなのがニューヨーク・ブロードウェイのミュージカル劇場。
そこではスタッフによる解説付きのバックヤード・ツアーが日常的に組まれています。
もちろんタダではなく、しっかり有料で。さすがショービジネスの本場です。
「舞台裏を見たい」、「出演者に近づきたい」、「ステージ衣装や道具を間近で見たい」、といった誰もが少なからず持っている願望。その願望をかなえる経験プログラム、コミュニケーション・プログラムが本場のミュージカル劇場にはあるわけです。
華やかなショービジネスが成り立つのも、こうしたきめ細かなファンサービスがあってこそといえそうです。
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