第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<31>
他にも、アフリカンドラムを全客席に用意し、出演者と一緒になってドラムをたたいて楽しむ「ドラムストラック」という参加型ライブイベントにも注目が集っていますが、
こうした経験プログラムを開発することを「エクスペリエンス(経験)・デザイン」といいます。
そして「経験」という無形の価値がモノやサービスの価値を決定付ける要因になってきたため「経験経済」の時代ともいわれています。
消費が成熟した現代では何を売るかよりもどう売るか、
どんな「経験」をしてもらうかが競争力の源泉になるからです。
物販業でもエンターテインメント色を強めているのはそのためです。
わかりやすい例を挙げれば、ビョーンと伸びる「トルコアイス」。
あれを買うときは必ずトルコ人におちょくられますよね。
差し出されたアイスを受け取ろうとすると、すっと引かれ、
また、ある時には目の前でアイスをコロッと逆さにして落とすふり。
そういうパフォーマンスを繰り返し驚かせ笑いを取るのが彼らのスタイル。
トルコのアイス売りはアイスと一緒に愉快な経験を売っているのです。
もう一つ、ついでにアイスクリーム売りのネタで言えば「コールド・ストーン」というアイスのテイクアウトチェーンもそう。
注文すると店員さんが目の前でアイスの調合やトッピングをしてくれます。
しかも歌いながら踊るように。
このどちらもアイス売りという物販業に経験プログラムを採り入れ、「買う」という行為、「待つ」時間をエンターテインメントに変えています。
物販業でもこのように「買い物経験」を楽しくしようとエンターテインメント色を強めています。
ましてやステージ・ビジネスは音楽を主とした「経験」を売っているのですから、
その「経験」をもっと楽しいものにしよう、刺激的にしよう、感動的にしようと試みるのは当然の使命です。
物販業に遅れをとっている場合ではありません。
だからステージ・ビジネスに携る人は「経験」を商っているという意識をもっと高め、
ステージの演出だけでなく、チケットをもぎるにしろ、プログラムを手渡すにしろ、荷物を預かるにしろ、
どんな些細な行為でもそれが「顧客経験」となってコンサートの満足度や感動を高め、
次につながるんだという意識を持って欲しいと思います。
ステージの演出、観客とのコミュニケーション、さらにはちょっとした接客行為まで幅広い顧客経験、
それらのどこをどうデザインするかによって専用ホールでなくてもホールの「独自色」は出せるはずです。
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