第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<04>
こうした参加型プログラムはコンサートにおける「経験プログラム」の一つです。何を見せるか聴かせるかという「ステージプログラム」のみならず、来場者にエンターテインメント空間としての会場でどんな経験をしてもらうのか、それが「経験プログラム」です。
例えばクラシックコンサート会場で「音楽を聴きながらでうたた寝するのが最高に気持ち良い」という人に対し、その「最高に気持ちの良いひと時」を気兼ねなく満喫できるようにしてあげる、それも経験プログラムです。
時おり睡眠に関するアンケート調査の結果が新聞などで発表されていますが、睡眠不足や睡眠障害を感じている人は少なくないようです。
ストレスの多い現代人は快適な「眠り」を求めているわけで、それは世の中の大きなニーズなのです。
そういうニーズに応える商品やサービスの一つとして快眠を促すCDなどもいろいろ市販されています。ならば寝不足や睡眠障害を解消できるコンサートがあってもいいわけです。
そんなことを前々から思っていましたら、実際にありました。「うたた寝」大歓迎というコンサートが。
その名もずばり、『いねむりコンサート』。音楽家の佐藤慶子さんが企画・出演している実にユニークなコンサートで、モーツァルトやブラームスの子守歌をはじめ、佐藤さんのオリジナル曲「ねむたくなって」、「星の枕」など、うっとり気持ちよくなりそうな曲を中心に構成されています。
さらに、このコンサートがユニークなのは第二部から。演奏者はステージを降りてロビーに移動。観客はワインやコーヒー、おつまみ片手に楽しむスタイルになります。ロビーがライブカフェに早代わりというわけです。
一方、客席は居眠りしたい派の仮眠室となります。ほのかな照明だけのホール内は居眠りにはうってつけです。
しかも、ロビーの演奏の模様はスピーカーから静かに流れ、舞台上のスクリーンにも映し出されるといった配慮。
まさに、至せり尽くせりといった感じです。
気分しだいでロビーとホールを行き来することもできるので、一つのコンサートで二通りの楽しみ方ができます。いや、第一部も含めれば三通りの楽しみ方ですね。まるで、一食で三度おいしい「ひつまぶし」のようなコンサートです。
0 件のコメント:
コメントを投稿