2012年4月4日水曜日

3-21>観客だって気持ちを伝える場がほしい

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<21>

やってみたら予想を大きく上回る大量のメッセージが集まりました。
勝手にカットはできませんからすべて紹介したら、とうとうステージの全プログラムが終了してもまだテロップを流し続ける事態に。
反響が大きいのはうれしいものの、この後どうなってしまうのか心配だったので観客の様子を観察していました。
すると普通なら演奏が終われば帰るはずの観客が一向に帰ろうとしません。
客席や通路に多くの人たちが残りスクリーンを見続けているのです。
演奏が終わって10分近く、あちこちでスクリーンを見ながらの立ち話しの輪ができていました。

自分や自分の友達が書いたメッセージが映し出されるのを待っているのです。それと自分のメッセージに対する周りの反応も気になるからでしょう。
知らない人のメッセージでも、見ていると、思わず笑ってしまうような愉快な投稿もあれば、ちょっと哲学的というか「うーん」と感心するようなメッセージも出てきますから、次にどんなメッセージが出てくるかわからない、そんなライブな楽しさもあったようです。

次々とメッセージが書き込まれ出てくるという点では人気の動画サイト「ニコニコ動画」と似たような感覚です。
「ニコ動」を見ている人たちは動画だけを楽しんでいるのではありません。
「なるほど、そういう見方、つっこみもありなんだ」とか、「みんな盛り上がってるから自分も」と、書き込みを見たり、したりするのを楽しんでいるのです。

そうやって「参加」することで、一体感や共感を得たい。感動を分かち合いたい。
だからニコ動を見る。つまり、動画を見るのは手段で、目的は一体感や共感、感動の共有にあるとっても過言ではありません。

コンサートだって、こういう「参加型」「体験型」プログラムがあれば、一体感が生まれ、感動はより深いものになります。

音楽を生で大勢の人たちと一緒に聴くうちに、人は感化され、感情やイマジネーションが膨れ上がります。
そうして高ぶってきた感情や沸きあがってきたイマジネーションを表現したい、披露したいと思うのは人情です。
ならば、それができる場を作ってあげるのもコンサートにおける大切な顧客サービスであり、ステージ・マネジメントなのです。

だから、こういうメッセージを紹介するプログラムは音楽と無関係では決してなく、音楽をより感動的にする効果さえあります。

このプログラムがあったことでメッセージを投稿した人も、感謝の言葉を贈られた人も、それぞれ心に残るコンサートになったはずです。
会場の連帯感も高まったようでした。満足度を高めた効果的なプログラムだったと思います。

ただ、反省点として演奏終了後にも何かBGMくらいは流すようにすべきでした。
メッセージと音楽が引き立てあう相乗効果が大切であることを考えると。

でも、このプログラムによって「参加した」「経験した」という感覚を持ってもらうことができた。
その意味ではとても貴重な試みになったコンサートでした。

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