2012年4月5日木曜日

3-33>観客が感じている「不」を洗い出そう

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<33>



この章の最後にコンサートにおける「不」の付く言葉をいくつか洗い出してみました。

「当たり前」を見直す参考にしてください。


【不便】▼演奏が始まったら入れない、出られない

一曲一曲が長いクラシック。トイレの近い高齢者にどう対応していく?

【不平等】▼演奏会には乳幼児を連れてこられない

託児サービスや子供たち向けの音楽プログラムは考えられないか


【不平等】▼聴覚障害者は演奏が聴けない

骨伝導補聴器のレンタルとかサウンドビートだけでも感じられるような方法はないか

【不満】▼曲目は運営者や演奏者が勝手に決めている

リクエストを事前受付できないか

【不信】▼コンサートに行ってみないと良し悪しがわからない

公開リハーサルはできないか。また、お代はステージの後に観客が自由に決められるようなやり方はできないか

【不親切】▼音楽会場周辺の情報や交通機関の情報をスタッフにたずねてもわからない

ホテルのようなコンサート・コンシェルジュをホールにも配置できないか

ここに挙げたのは、ほんの一例です。

他にも、「不」の付く言葉は、「不安」、「不快」、「不都合」、「不釣り合い」、「不適切」、「不当」、「不必要」、「不服」、「不平」、「不本意」、「不愉快」、「不自由」「不備」、「不埒」などたくさんあります。

これらの言葉から、観客が会場で感じている「不」、あるいはチケット購入や予約に関する「不」を洗い出し、見直していけば、「期待」→「満足」→「継続」の好循環を生み出せるはずです。
それが集客の大きな原動力になります。

3-32>ホール、主催者、出演者が三位一体となって「特色」を出す

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<32>


これから先、「参加」や「コミュニケーション」といった経験プログラムは音楽ステージ・ビジネスの価値を高める手法としてますます重視されるようになってきます。


そしてそれは常に進化させていくことも求められます。
同じ事を繰り返すだけではいわゆるコモディティ化は避けられないからです。


ただ、「参加」や「コミュニケーション」といったプログラムのアイデアはいろいろ打ち出せたとしても、それを実現するためには、クリアしなければならない大きな課題があります。


それはホール運営者とイベント主催者と出演者の三者がそれぞれ前例主義を打ち破り、互いに譲歩し刺激しあって「特色」を出そうとする姿勢。


そういう努力と協力をおしまないで三位一体の体制がとれるかどうか。
すべてはそこにかかっています。


ホール運営者は「あれはダメ、これもダメ」といった官僚的な事なかれ主義や前例主義を改める。

また、イベント主催者はいろいろな新しいアイデアをホール運営者にも出演者にも提案し、協力を仰ぐ。

そして出演者も音楽だけでなく、音楽といっしょに、また音楽を通じていかに素敵な「経験」を観客にもたらすことができるかを模索する。

そういう三者の姿勢があってこそ、素敵な経験を提供できます。


もし、この三者が手を組み、観客に素敵な経験を提供するために、あらゆる手立てを講じようと一致団結すれば、今まで「無理だ」と思っていたことでもできるようになるはずです。

そうなれば、専用劇場に引けをとらない「特色」が生み出されるのは間違いありません。


観客との「コミュニケーション」が大切だと、ここまで書いてきましたが、
実は、ホール運営者とイベント主催者と出演者、この三者のコミュニケーションこそ、
これからの音楽ステージ・ビジネスを盛り立て、進化させていく上で最も重要な課題ではないでしょうか。


三者がそれぞれこれまでの「当たり前」としてきたことを見直し、観客が感じているさまざまな「不」を解消する。
それが音楽ステージ・ビジネスの未来を拓くことになるはずです。

3-31>音楽という「経験」を売っているステージ・ビジネス

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<31>

他にも、アフリカンドラムを全客席に用意し、出演者と一緒になってドラムをたたいて楽しむ「ドラムストラック」という参加型ライブイベントにも注目が集っていますが、
こうした経験プログラムを開発することを「エクスペリエンス(経験)・デザイン」といいます。


そして「経験」という無形の価値がモノやサービスの価値を決定付ける要因になってきたため「経験経済」の時代ともいわれています。


消費が成熟した現代では何を売るかよりもどう売るか、
どんな「経験」をしてもらうかが競争力の源泉になるからです。
物販業でもエンターテインメント色を強めているのはそのためです。


わかりやすい例を挙げれば、ビョーンと伸びる「トルコアイス」。
あれを買うときは必ずトルコ人におちょくられますよね。
差し出されたアイスを受け取ろうとすると、すっと引かれ、
また、ある時には目の前でアイスをコロッと逆さにして落とすふり。
そういうパフォーマンスを繰り返し驚かせ笑いを取るのが彼らのスタイル。
トルコのアイス売りはアイスと一緒に愉快な経験を売っているのです。


もう一つ、ついでにアイスクリーム売りのネタで言えば「コールド・ストーン」というアイスのテイクアウトチェーンもそう。
注文すると店員さんが目の前でアイスの調合やトッピングをしてくれます。
しかも歌いながら踊るように。


このどちらもアイス売りという物販業に経験プログラムを採り入れ、「買う」という行為、「待つ」時間をエンターテインメントに変えています。


物販業でもこのように「買い物経験」を楽しくしようとエンターテインメント色を強めています。
ましてやステージ・ビジネスは音楽を主とした「経験」を売っているのですから、
その「経験」をもっと楽しいものにしよう、刺激的にしよう、感動的にしようと試みるのは当然の使命です。
物販業に遅れをとっている場合ではありません。


だからステージ・ビジネスに携る人は「経験」を商っているという意識をもっと高め、
ステージの演出だけでなく、チケットをもぎるにしろ、プログラムを手渡すにしろ、荷物を預かるにしろ、
どんな些細な行為でもそれが「顧客経験」となってコンサートの満足度や感動を高め、
次につながるんだという意識を持って欲しいと思います。


ステージの演出、観客とのコミュニケーション、さらにはちょっとした接客行為まで幅広い顧客経験、
それらのどこをどうデザインするかによって専用ホールでなくてもホールの「独自色」は出せるはずです。

2012年4月4日水曜日

3-30>一般ホールに専用劇場「成功のエッセンス」を採り入れる

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<30>

専用劇場でロングラン公演というステージ・エンターテインメントビジネスが成功している一方で、
公共ホールなどの多目的な会場の多くが苦戦しています。

専用劇場というのは劇団四季の「キャッツ」専用の円形劇場をはじめ、
東京ディズニーリゾート隣にオープンしたシルク・ドゥ・ソレイユ専用の「シアター東京」、
また「BLUE MAN GROUP」のために作られた六本木の専用シアター「インボイス劇場」など。

ちなみにBLUE MANは大量に水を使うためステージには排水溝まで装備され、
前列席には水が飛んでくるのでポンチョ着用のシートまであるくらいです。

ただ、こうした専用劇場でのエンターテインメントが連日多くの観客を集めているからといって、
公共ホールなどの多目的施設を専用劇場に作り替えるわけにもいきません。
お金もかかり、リスクもあるから、そう簡単にはできません。

だったら、こんなふうに考えてみてはどうでしょう。
専用劇場「成功のエッセンス」を採り入れられないか、と。

では、専用劇場の成功エッセンスとは何でしょう。
月並みな言い方をすれば「特色」を出すということ。独自性、斬新性です。

さらに、その「特色」とは何かと言えば、観客に新しい「経験」を提供することです。
驚きや意外性のある「経験」。コミュニケーションしたり参加できたりする「経験」を。

例えば、最近では演劇や映画で「香り発生装置」を採用し、
シーンに合わせて香りを発生させるといった試みも見られます。
映画「チャーリーとチョコレート工場」を上映した一部映画館では甘いチョコレートの香りを、
また芝居の特定のシーンになると花の香りを場内に漂わせて臨場感を高めているステージもあります。

視覚、聴覚、嗅覚とくれば次に考えられる「経験プログラム」といえば「触覚」。
その触覚に働きかけた例もあります。

音楽のビートを身体で感じられるシートを用意した映画やコンサートもそうですし、
また、聴覚障害者を招いたコンサートでバルーンを用意し、それを膝の上に抱えてもらい、
音楽を身体で感じられるようにした例もあります。

すごくシンプルな方法ですが、これはこれでとても素敵な「経験プログラム」だったのではないでしょうか。

3-29>観客同士のコミュニケーションはプロ野球に学べ

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<29>

イベントの満足度を高めるためのコミュニケーション。
それを誰と誰とのコミュニケーションなのか、分けてみると次の三つのパターンがあると思います。

第一は出演者と観客との、第二は観客と会場には来ていない観客の友だち・家族との、
そして第三が会場の観客同士のコミュニケーションです。

一と二は見当がつくと思いますが、第三の観客同士のコミュニケーションとは何か。

コンサートではコレダ!というものは見当たりませんが、あえて挙げれば、アキバ系アイドルファンの応援スタイル。

いわゆる「オタ芸」。あれが近いところでしょうか。

アイドルを応援するための「掛け声」とか「振り付け」をファンが組織だって行うという。
それが結果として観客同士のコミュニケーションになっています。

もっと大がかりな観客同士のコミュニケーションはプロ野球に見られます。
何かと言うと、観客がゲーム中に一斉にする行為、ある応援活動と言えばもうおわかりでしょう。

ウェーブがそうです。

さらに極めつけは阪神タイガースファンによる六甲おろしの大合唱と直後のジェット風船飛ばし。

会話という形ではないけれど、こうした応援も一つの観客同士のコミュニケーションの形といえます。
名付けるなら「パフォーマンス型コミュニケーション」とでもいいましょうか。

このような観客同士のコミュニケーションは一体感を生み、熱狂をもたらします。
社会学者デュルケムの言う、人にとって最高の快楽「集合的沸騰」がそこにはあります。

ゲームを見るだけなら家でも見られるのに、わざわざ球場まで足を運ぶのはなぜか。
観戦するというよりも、ごひいきチームをみんなで応援する一体感を味わいたいからです。
一度これを経験したら病み付きになる人は少なくないのでしょう。

そう考えてみると六甲おろしの大合唱とジェット風船飛ばしというプログラムを持つ阪神タイガースの観客動員が二〇〇五年からずっとリーグトップであることもうなずけます。
観客同士のコミュニケーションが濃厚で、ゲームに参加している感が最も強いからこその集客力といえそうです。

つまり、観客同士のコミュニケーションの濃厚さやボルテージの高さによって満足度が左右され、動員数に現れる、という法則が成り立つわけです。

そして、この法則はコンサートにも当てはまると思います。
ならば音楽会場でも出演者への応援・声援という形で、観客同士がコミュニケーションできるプログラムや参加できるプログラムを考案してはどうでしょう。

いっせいに紙ヒコーキを飛ばす藤井フミヤさんのライブように、アキバ系アイドルファンのオタ芸のように。

3-28>バックヤード・ツアーでコンサートの付加価値を高める

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<28>


当然そういう「ふれあいタイム」や「バックヤード・ツアー」といったプログラムがあれば親近感は増します。
なぜなら人は少しでも慣れ親しんだ人や物事に肩入れをし、思い入れをするものだからです。

そうして親近感が増せば、期待感も高まり、期待して見るから本番のステージがいっそう感慨深いものになる―。
コミュニケーション・プログラムにはそういう好循環を生みだす力があります。

それでもってブロードウェイの劇場のバックヤード・ツアーみたいに入場料以外の収益まであげられるとなればいいことずくめです。

オーケストラの演奏会でバックヤード・ツアーそのものを有料化するのは大変かもしれませんが、バックヤード・ツアーに参加したいとか、公開リハーサルに立ち会いたいというニーズがあるのなら、それらに参加できる権利と本番公演をセットにしたスペシャルチケット(シート)を販売するという手も考えられなくはありません。

このアイデアはあくまでも一例ですが、コミュニケーション・プログラムを確立すれば、期待感と満足感を高め、そのうえ新たな収益まで得られる可能性だって十分あるということです。

経験プログラム、コミュニケーション・プログラムで付加価値を高め、その付加価値として得られた収益を歌舞伎の「幕見席」のような格安シートの設置に宛てれば、より多くの観客動員が図れますし、若手音楽家の勉強の場にもなるはずです。

3-27>歌舞伎の世界にあった現代的なマーケティング感覚とは

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<27>


プロ野球ではシートの価格設定を見直した球団があります。
「価格(PRICE)戦略」というのはマーケティングの4Pの一つとして大事な集客戦略です。

それで、どう見直したかというと、従来よりもシートのバリエーションを増やしました。
例えば三千円・五千円・一万円の三種類だったとしたら、それを五種類、六種類に細分化、買いやすくしたのです。
多様化するニーズや広がる格差に対応したこのやり方でシーズン中の観客動員を回復させたそうです。

コンサートでもこうした価格の細分化を試してみる価値はありそうです。
できれば思い切って数百円のシートから数万円のシートまで幅を広げてはどうでしょう。

「そんなことしたら管理が面倒なことになる」と思われるかもしれません。
でも、そうなれば、従来のような十把ひとからげのサービスを見直す良い機会にもなります。
安価な席は安価な席なりの効率的なサービスを、高価な席は高価な席なりの高品質なサービス(ホスピタリティ)を提供する必要が出てくるからです。

効率的なサービスや高品質なサービスをあれこれ考案して実行するということは、新たなサービス体制や収益モデルを生み出すきっかけにもなります。

それはコンサート等の主催者にもホール運営者にとっても、サービスやホスピタリティのあり方を見直し集客力を強化するためのよい意味での試練になります。

シートの価格差を広げると平等性がなくなると言う意見もあるかもしれませんが、それは考え方次第。
幅広い層の人たちに門戸を広げられるメリットはあります。

なぜなら、金銭的な余裕がある人に高額で高付加価値のシート(チケット)を買ってもらえば、その分、学生とかフリーターといった金銭的に余裕がない人に向けて安価なシートを用意にすることができるからです。

実はこの考え方、決して新しいアイデアではありません。
歌舞伎の世界で昔からあるやり方です。
リッチな旦那衆は大枚払って「桟敷席」でお弁当を広げて優雅に見物してもらう。
反対に余裕のない人は「幕見席」で一幕だけ見る、という。

ちなみに「幕見」とは、三幕で構成されることの多い歌舞伎の一幕に限り格安料金(数百円~)で鑑賞できる席のこと。
役者志望の学生や若手芸人などに重宝されているようです。
また、幕見席は「通の人が通う席」ともいわれていて、「前に見たあの名場面をもう一度…」といったニーズや、「今日は時間があまり無いけれど少しだけ見たい…」といった、きめ細かなニーズにも応える、実によく考えられたシステムです。

現代的なマーケティング感覚が伝統芸能の歌舞伎にあったなんて本当に驚きですね。

3-26>プロ野球もブロードウェイも「コミュニケーション」が命

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<26>

コンサートの「期待(感)」と「満足(感)」を高め「継続」を促すためのコミュニケーション・デザインを音楽業界の事例から見てきましたが、もう少し視野を広げ、音楽以外の業界を見てみましょう。
例えば、プロ野球。

ここ数年来、観客動員に苦心してきたプロ野球は「セ・パ交流戦」や「クライマックスシリーズ」の導入などさまざまな改革を実施してきましたが、他にも球団毎に独自の動員策を展開しています。
その動員に効果的だったとされるのがファンとのコミュニケーション・プログラム。
ゲーム開始前に選手と観客がふれあえる時間を設けたことで観客動員を回復させたのです。

それくらいコミュニケーションは大切なプログラムなのです。
音楽の世界でも同じだと思います。それを見習ってはどうでしょう。

例えばオーケストラの中にはリハーサルを公開する楽団があります。
ならば、そのリハーサルの前後に少しの時間でもいいから「ふれあいタイム」を設けてはどうでしょう。
楽器や楽曲、演奏に関する疑問、あるいはもっと個人的なことでもいいと思いますが、見学者からのいろいろな質問に答えるとか、いっしょに写真を撮らせてあげるとか、そんな交流できる時間を持つことも考えられます。

また、本番会場でのリハーサルやゲネプロの時には「バックヤード・ツアー」を行い、普段見ることのできない舞台裏や団員の素顔なども紹介する。
そういったコミュニケーション・プログラムを実施すれば有効なファンサービスになるはずです。

そのお手本になりそうなのがニューヨーク・ブロードウェイのミュージカル劇場。
そこではスタッフによる解説付きのバックヤード・ツアーが日常的に組まれています。
もちろんタダではなく、しっかり有料で。さすがショービジネスの本場です。

「舞台裏を見たい」、「出演者に近づきたい」、「ステージ衣装や道具を間近で見たい」、といった誰もが少なからず持っている願望。その願望をかなえる経験プログラム、コミュニケーション・プログラムが本場のミュージカル劇場にはあるわけです。

華やかなショービジネスが成り立つのも、こうしたきめ細かなファンサービスがあってこそといえそうです。

3-25>撮影・録音OK!「スターダスト・レビュー」コンサートのねらい

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<25>


 
最も身近で万能なコミュニケーション・ツールが携帯電話。
写真や動画も撮れ、録音もでき、さらにそのデータをメールに添付して送ることも簡単にできます。

そんな携帯によって観客に思い出作りをしてもらおうというユニークなコンサートもありました。
「スターダスト・レビュー」のデビュー25周年を記念したメモリアルコンサートです。
撮影・録画・録音がフリーというユニークなこの試みはメディアにもたくさん採り上げられ話題になりました。

そのステージの冒頭でボーカルの根本要さんが「記念です。写真を撮っちまおう。家宝ができたね!」とあいさつ。
その言葉を合図に、1万5千人の観客が一斉に撮影を始めたといいます。
もちろん携帯だけでなく、本格的なデジタルカメラと三脚まで持ち込んだ熱心なファンも少なくなかったようです。
これまでタブーだったコンサートの撮影・録画・録音をフリーにした理由はしごく明快です。

「ファンが喜んでくれる」こと、「観客の思い出作りになる」ことを優先したのです。

その後、こうした撮影・録音フリーのコンサートは少しずつ増えています。
歌手の一青窈さんも六本木ヒルズアリーナの野外ライブを撮影・録音フリーにしています。

ファンあってのミュージシャン。そう考えれば、撮影・録音をタブーとする必要はないわけですし、またフリーにすればソーシャルメディアやメールで人から人へと伝わっていきます。ファンが勝手に宣伝してくれるのです。

インターネットによる口コミは絶大な宣伝効果があります。
だったら、それを狙う。それもコミュニケーション・デザインです。

3-24>「イエスorノーうちわ」を配って観客とコミュニケーション

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<24>


では、ステージと客席でどのようなコミュニケーションのとり方があるでしょうか。次にそれを考えてみましょう。

ステージと客席のコミュニケーションといっても普通に会話するわけにもいきませんから、それ以外の手段として考えられるのは、観客が何らかの形で意思表示できる仕組み。

例えば、事前に『イエスorノーうちわ』なるものを配っておいて、出演者が質問やクイズなどの問い掛けをしたら、それに観客が「イエス」か「ノー」で応える、というのはどうでしょう。
片面が「イエス」、もう片面が「ノー」で、うちわのベースの色を紅白に色分けしておけばステージからでも一目瞭然です。

それから、客席の様子を映し出せるカメラを配置してステージ上のスクリーンに映し出せば、客席からも「イエス」「ノー」の様子を見ることができます。
そうすれば楽しいアトラクションがいろいろ考えられそうです。

さらに、配った「イエスorノーうちわ」にもう一工夫することもできます。
QRコードを刷り込んでおいて、その場で携帯サイトにアクセスできるようにし、メッセージを投稿してもらう―、そんなコミュニケーションのとり方も考えられます。

そうすれば公演中も観客からのメッセージが届くので、面白い書き込みがあれば出演者がそれを紹介することもできます。
さらに公演後にはこの携帯サイトをコミュニティ・サイトと位置づけて交流をはかったり、コンサートのアンケートや感想を受け付けたり、といろいろな展開ができます。

もっとも、「イエスorノーうちわ」でなくても、携帯とウェブ・システムを使ってデジタル的にイエスorノーの回答の受付け・集計をすることはできます。
よくコンサート会場では当たり前のように「携帯の電源をお切り下さい」といったアナウンスが入りますが、それとは反対に「携帯の電源をお入れ下さい」と促すコンサートがあってもいいわけで、コミュニケーション・ツールとして携帯をもっと積極的に使ってみてもいいのではないでしょうか。

そうすれば、一方通行になりがちなコンサートに新たなお楽しみプログラムを付加できます。これもコミュニケーション・デザインです。

3-23>コンサートにコミュニケーション・デザインを施す

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<23>

この「当たり前」を見直す一つの策として考えて欲しいのがコンサートを企画する際に「コミュニケーション・デザイン」を施すという考え方。

コミュニケーション・デザインなんて何だか難しそうに感じるかもしれませんが、ようは、聴かせるだけの一方通行でなく、自分の気持ちを表したい、伝えたいという観客の欲求にどう応えるか、その仕組みを考え、実行する。
それがステージ・マネジメントにおけるコミュニケーション・デザインです。

観客から寄せられたたメッセージをスクリーンに映し出したのもそうだったように、客席とステージが一体となって、いまここでしかできない素敵な経験と思い出をデザインする。

そうした意識を持つようにすれば、「参加型」「体験型」プログラムのアイデアはいろいろ出てくるはずです。

ジョアン・シェフ・バーンスタインは「芸術の売り方」の中で「芸術ビジネスの最大の目的は芸術体験を提供すること。
究極的な芸術体験とは一体感である」と明言し、さらに「人々が芸術を鑑賞するのは楽しみたいからであり、意義や重要性を考え、義務にかられるからではない」と、芸術関係者に対し意識改革を求めています。

3-22>あらゆるメディアが双方向の参加型に

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<22>


今やインターネットの発達により、多くの人は自らが発信者になる楽しさを知っている時代です。
テレビを見ながら2チャンネルに突っ込み(感想を書き)入れたり、今見ている番組をネタにTwitterでつぶやきあったり。
そういうテレビとネットを併用する生活スタイルが普通になってきました。
つまりメディアから発せられるコンテンツをおとなしく黙って試聴している人はどんどん減ってきているわけです。

そのためテレビ番組も携帯やパソコンを使って視聴者が参加できるよう、双方向化に向かっています。
地上波デジタルの時代ですから、リモコン一つでネットを介して番組に参加するなんてことも当たり前です。

人気の「ケータイ小説」なんかもそうです。
連載型の小説では、読者の感想・意見を参考にストーリー展開を変えるなんてこともしています。

あらゆるメディアやコンテンツが一方通行ではなくなってきているのです。
それは双方向のコミュニケーションがなければ楽しくないと感じる人たちが増えている、ということでもあるのです。

翻ってコンサートはどうでしょう。音楽の世界では演奏者や作曲者は音楽で気持ちを伝えられますが、観客はそれができません。
クラシックなんかとくにそうですが、ただ聴くだけという受身的なコンサートがほとんどです。
ただ聴くだけという受身的なスタイルを全否定はしませんが、「そんなの当たり前」と切り捨ててしまうのもどうかと思うのです。

「当たり前」を見直し、変えていかなければ、一握りの人気コンダクターや人気楽団のコンサート以外は成り立たない、という状況はさらに拍車がかかってしまいます。

サブプライム問題やユーロ圏の経済危機など、景気回復の兆しがなかなか見えてこないいま、かなり思い切った手をうたなければ、観客離れに歯止めがかからないのは火を見るより明らかです。

「当たり前」を見直し、タブーにも挑戦していく気概がこれまで以上に求められています。

3-21>観客だって気持ちを伝える場がほしい

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<21>

やってみたら予想を大きく上回る大量のメッセージが集まりました。
勝手にカットはできませんからすべて紹介したら、とうとうステージの全プログラムが終了してもまだテロップを流し続ける事態に。
反響が大きいのはうれしいものの、この後どうなってしまうのか心配だったので観客の様子を観察していました。
すると普通なら演奏が終われば帰るはずの観客が一向に帰ろうとしません。
客席や通路に多くの人たちが残りスクリーンを見続けているのです。
演奏が終わって10分近く、あちこちでスクリーンを見ながらの立ち話しの輪ができていました。

自分や自分の友達が書いたメッセージが映し出されるのを待っているのです。それと自分のメッセージに対する周りの反応も気になるからでしょう。
知らない人のメッセージでも、見ていると、思わず笑ってしまうような愉快な投稿もあれば、ちょっと哲学的というか「うーん」と感心するようなメッセージも出てきますから、次にどんなメッセージが出てくるかわからない、そんなライブな楽しさもあったようです。

次々とメッセージが書き込まれ出てくるという点では人気の動画サイト「ニコニコ動画」と似たような感覚です。
「ニコ動」を見ている人たちは動画だけを楽しんでいるのではありません。
「なるほど、そういう見方、つっこみもありなんだ」とか、「みんな盛り上がってるから自分も」と、書き込みを見たり、したりするのを楽しんでいるのです。

そうやって「参加」することで、一体感や共感を得たい。感動を分かち合いたい。
だからニコ動を見る。つまり、動画を見るのは手段で、目的は一体感や共感、感動の共有にあるとっても過言ではありません。

コンサートだって、こういう「参加型」「体験型」プログラムがあれば、一体感が生まれ、感動はより深いものになります。

音楽を生で大勢の人たちと一緒に聴くうちに、人は感化され、感情やイマジネーションが膨れ上がります。
そうして高ぶってきた感情や沸きあがってきたイマジネーションを表現したい、披露したいと思うのは人情です。
ならば、それができる場を作ってあげるのもコンサートにおける大切な顧客サービスであり、ステージ・マネジメントなのです。

だから、こういうメッセージを紹介するプログラムは音楽と無関係では決してなく、音楽をより感動的にする効果さえあります。

このプログラムがあったことでメッセージを投稿した人も、感謝の言葉を贈られた人も、それぞれ心に残るコンサートになったはずです。
会場の連帯感も高まったようでした。満足度を高めた効果的なプログラムだったと思います。

ただ、反省点として演奏終了後にも何かBGMくらいは流すようにすべきでした。
メッセージと音楽が引き立てあう相乗効果が大切であることを考えると。

でも、このプログラムによって「参加した」「経験した」という感覚を持ってもらうことができた。
その意味ではとても貴重な試みになったコンサートでした。

3-20>コンサートであなたのメッセージが映し出される

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<20>


参加型・体験型のコンサートの話をもう一つ。ぼくが教鞭をとる名古屋芸術大学では、「ザ・ルネッサンス21」という、ちょっと変わったコンサートがあります。

演奏するのは「セントラル愛知交響楽団」というプロのオーケストラですが、学生が作ったオリジナル曲を、学生が企画・演出・運営する学生主体のコンサートです。
ある年このコンサートで観客参加型のプログラムが好評を得ました。
どういう企画かというと、コンサート来場者にテーマを提示。
そのテーマに対するメッセージを投稿してもらい、舞台のスクリーンで流すというもの。

開演前に用紙を配り、そこに書いてもらったメッセージを第一部が終わった時点で大急ぎで回収、それを学生たちが手分けしてパソコンに入力します。(携帯メールを使ってメッセージを送信してもらう方法も併用)
人海戦術ならお手の物という学生の強みを活かした企画です。

そうやって学生たちの手で入力された観客のメッセージが、第二部からステージのスクリーン上に次々とテロップで流されたのです。
このときテーマは二つ用意されていました。一つは「地球はなぜ回っている?」という問い。今回のコンサートのテーマである「地球」にちなんだものです。そしてもう一つは、「あなたの大切な人に伝えたい感謝の言葉」。

年の瀬のこのコンサートを、友人、家族、恋人に「今年もいろいろお世話になりました。ありがとうね」という気持ちを伝える場にしようと考えたわけです。しかもオーケストラが奏でる音楽つきで。

3-19>マーケティング感覚やCS意識が希薄な音楽の世界

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<19>

ところが、公演から戻った学生にどうだったか聞いてみると、「炭琴」の陰も形も現れなかったといいます。
オーケストラの側でそうした公演先の情報を事前に把握していなかったのでしょう。実に残念なことです。

地方の講演会に呼ばれる講師は、その地域についての下調べは当然のようにします。
講師によっては早めに現地入りして地域を視察してまわったりすることも珍しくはありません。
営業マンだってそうです。初訪問の企業なら、その会社のことを事前にウェブサイトでチェックしたり、業界の動向をいろいろ調べたりして行きます。
また、営業先がはじめて訪れる土地だったら、その土地の特殊な事情があるかどうかも下調べします。
これが普通のビジネス感覚です。初歩的なマーケティング感覚です。

ところが音楽の世界はそういうことがほとんどありません。事あるごとにそれを感じます。
マーケティング感覚も、顧客サービスとか顧客満足(CS)といった意識も薄いということです。

オーケストラだって地方講演に行くのなら、公演先の事情を知り、地元の人たちに喜ばれるようなプログラムを考えるのは大事なことだと思います。
どこへ行っても同じプログラムの繰り返しでは工夫が足りないといわれても仕方ありません。

もっといえば、招聘先にとっての目的は「演奏を聴く」ことではなく、演奏を聴くことで得られる刺激であったり、交流であったりするはず。

また、教育が目的の公演もあれば、地域の活性化が目的の公演もあるでしょう。
その目的や狙いはいろいろです。

音楽をプロとしてビジネスとして提供する人は自分たちの音楽活動は「手段」であって、その先にある「目的」は何なのかということまで視野に入れるべきだと思います。
演奏を聴かせるだけでなく、演奏会を開く狙いは何なのか、どうすれば観客が参加でき、楽しめるのか、そういうところにも目を向けて欲しいものです。

3-18>備長炭の名産地をPRするオリジナル楽器

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<18>

では、実際、地域に根ざした特産物を使ったオリジナル楽器にはどんなものがあるのか。
調べてみたら、最高級木炭として知られる「備長炭」を使った、その名も『炭琴』という楽器がありました。
備長炭の名産地・和歌山県の「みなべ川森林組合」が企画・製作したもので、炭を木琴の鍵盤に仕立てたオリジナル楽器です。
備長炭は普通の炭よりは硬く金属よりは柔らかいため特有の音色が出るといいます。
みなべ町の中学校では、この「炭琴」を使った演奏活動が盛んに行われていて、マスコミで何度もそのことが紹介されています。
「備長炭のふるさと」として、みなべ町の名が「炭琴」というオリジナル楽器によってPRされているわけです。
こうしたオリジナル楽器があれば、それを使ったいろいろな企画の展開も考えられます。
音楽コンクールを開くとか、新たな特産品としてその楽器を売り出すとか。
そんな話を講義の中でしていたら、一人の学生が、近々、名古屋フィルハーモニー交響楽団のスタッフとして、みなべ町の中学校に公演に行く予定だと言います。
そうなら「炭琴」を名フィルに演奏してもらうとか、地元の中学生と合奏するプログラムがあれば楽しいかもしれないね、なんて話していました。

3-17>地域の特産物をオリジナル楽器にして町おこし

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<17>

工芸村を象徴するシンボルとしての木琴。この楽器を見てひらめいたアイデアがあります。
オリジナル楽器を「地域の活性化策」として作ってみたらどうだろうと。

どういうことかというと、地域にはそれぞれ特産物や古くからの工芸技術など地場産業が少なからずあります。
そうした資源を活用して、地域のシンボルとなるオリジナル楽器を作り、「音楽で町おこし」してみてはどうかと。

オリジナル楽器を使った音楽イベントを開催してみるとか、地域のPR曲やご当地ソングを作ってその楽器で演奏してみるなんてこともできます。
地域のアイデンティティをアピールする良いきっかけになるはずです。

どんな楽器を作るかについては、オークヴィレッジの巨大な木琴のようなシンボル楽器をドーンと一つ作るのも手ですが、小さな手作りのオリジナル楽器を地域の人たちの手でたくさん作って合奏する、なんていうのもありだと思います。

肝心なのはオリジナル楽器を作るにしろ、ご当地ソングを作るにしろ、地域の人たちの手で誰もが参加できるようにすることが大事。
一人でも多くの人が参加でき、地場産業など地域のアイデンティティが表現できる、そんなテーマで話し合う場を作ってはどうでしょう。
それをするだけでも地域に活力が芽生えるはずです。

そうやってみんながアイデアを出しあい、討議し、楽器づくりや音楽づくりを楽しむ。
それだけでも、けっこう盛り上がりますし、そうなれば展開はどんどん拡がっていくはずです。
演奏会や音楽祭を企画しようとか、そのためのレッスンをしようとか。
地域の交流がますます盛んになります。それも活性化です。

「音楽で町おこし」というのは何も有名人を呼んできて音楽イベントを開くばかりがやり方ではありません。
音楽の持つ「求心力」を活用して人々の交流を生み、絆を深めることの方が何よりも大事だと思います。
その一つの手段として、はじめの一歩として地域の特性を生かしたオリジナル楽器づくりを考えてみてはどうでしょうか。
みんなが参加できる音楽交流イベントとして。

3-16>音楽を通じて森の大切さを体験的に知らしめる

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<16>

マイ打楽器を手に足を踏み入れた会場は、原っぱにシートが敷かれただけの桟敷席でした。
かなり人が入っていましたが何とか親子三人分のスペースを確保して前方のステージに目をやると、そこには不思議な形をした巨大な木琴が置かれていました。

といっても、はじめ、それが木琴だと気付きませんでした。この木琴の説明があってわかりました。
実にユニークな木琴で、鍵盤の一つひとつがブナ、クヌギ、カシ、ヒノキなどのそれぞれ異なる木で出来ています。
それぞれの木が奏でる打音は高い音・低い音・渇いた音・こもった音などいろいろで、叩いた時の音の違いも実際に聞かせてくれました。
そして、この木琴がオークヴィレッジ特製のオリジナル楽器であることも。

つまり、この木琴は工芸村オークヴィレッジを象徴するシンボルとしての楽器であり、村のアイデンティティを世に知らしめる楽器だったのです。

子供たちがその眼で見て、その耳で聞き、さらに楽器を手作りできる、この参加型プログラムによって、間伐という作業で健全な森が育つことや、その森が私たちに多くの恵みをもたらしていることを、体験的に知ることができます。

どうです?実に見事な演出だと思いませんか。
音楽を通じて樹木のことや森の大切さを伝えるなんて。
メセナ活動の一環として音楽イベントを主催する企業にも、こうしたやり方・考え方をぜひ参考にして欲しいと思います。

3-15>参加型プログラムは印象を深め感動をよぶ

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<15>

楽器を手作りして演奏に加わる。
それは子供たちにとって忘れられない素敵な夏休みの思い出になります。
なぜなら人は見るだけ、聴くだけの経験よりも、自ら何かをするという経験によって印象はより深いものになり、その分、感動もより強くなるからです。

中国のことわざに「聞いたことは忘れ、見たことは覚え、やったことは身に付く」という金言があるそうですが、まさにそれ。
参加型プログラムによって、楽しかった、また参加したいという思いを強く持ってもらうのは、観客をファンにするということであり、一見さんをリピーターにするということです。
それが次につながります。オークヴィレッジの「参加型プログラム」に学ぶべきポイントがこれです。

3-14>マイ打楽器を作って参加するオークヴィレッジの森の音楽会

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<14>



そんな参加型のコンサートの例をもう一つ。
飛騨の山中、木立に囲まれた爽やかな森の広場で開かれる夏の野外コンサートがそれ。
主催するのは高山市清見にある工芸村「オークヴィレッジ」。
家具など木工製品を手作りしている有名な工芸村です。

ちょうど、ぼくが行った年は司会に永六輔さん、出演は元「ハイファイセット」で活躍されていた山本潤子さん。彼女は代表曲「フィーリング」で紅白出場しているほか、ユーミン(松任谷由実)のナンバーも何曲かカバーしている、ぼくたちの世代にはとても懐かしい歌声です。

ステージには、オークヴィレッジ代表の稲本正さんも所々で登場し、永六輔さんとの絶妙な掛け合いトークで楽しませてくれました。
稲本さんは自然保護に関する講演やフォーラムに引っ張りだこの人なので、テレビなどで顔を見たことのある人も多いと思います。
この日も木のこと森のことをいろいろお話ししてくれました。
そしてもう一人の出演者がマリンバ奏者の能登弓美子さん。森の音楽会で子供向けの「参加型プログラム」のステージを勤めるのが能登さんです。

「参加型プログラム」は能登さんの演奏にあわせて子供たちがパーカッションで参加するというものですが、しかし、それだけではありません。
パーカッションのときに使う打楽器。それを手作りする体験プログラムも用意されていました。

会場入り口の作業小屋がその工房です。
間伐材と工具が置いてあり、そこでオリジナル打楽器を手作りするのです。
その時、ぼくと息子はスタッフのアドバイスを受けながらトンカチ(木槌)のような打楽器を作りました。
トンカチの頭にする太めの枝(幹)に穴を開け、その穴に細い枝を通して柄にするという簡単なもの。
しかし慣れないことなので結構大変です。それでも息子は嬉々として打楽器作りに没頭します。

作ること自体楽しいことですし、それが自分のものになり、しかも今からこの楽器を使って演奏に加わるんだという期待感があったからだと思います。
この音楽会には聴く楽しみだけでなく、マイ打楽器を作る楽しみと、使う楽しみがあったのです。

さてここまで見ただけでも、この音楽会には学ぶべき点が多いことがわかります。
まずコンサートを企画する時、ついステージの演出をどうしようかという観点ばかりに目が行ってしまいがちですが、開演前にも楽しめるプログラムがあってもいいということ。
しかも、そうすることでこれから始まるコンサートに自分が参加するんだという意識や期待感が高まる。
そういう効果も期待できるのです。

3-13>紙ヒコーキが乱舞する参加型ライブ

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<13>


さて、ステージや客席に限らずロビーを使って何ができるか、
あるいはコンサート本番のビフォア・アフター(前後)にはどんなコミュニケーション・プログラムが考えられるのか、
そんな事例・アイデアを紹介してきました。

次に、そのコミュニケーションをもっとエキサイティングなもの、感慨深いものにする参加型プログラムを見ていくことにしましょう。

エキサイティングにするというのはライブの中に「お祭り」を採り入れる感覚です。
元「チェッカーズ」の藤井フミヤさんのライブにもそんな「お祭り」があります。
そのお祭りは「紙飛行機」という曲の途中で始まります。
曲の間奏のところで彼がステージから客席に向けて紙ヒコーキを飛ばす。
すると、それを合図に「待ってました」とばかりに観客も一斉に用意してきた紙ヒコーキを飛ばすのです。
「アイラブユー」とかいろいろなメッセージや願いが書かれた紙ヒコーキを。

武道館ライブの映像を見ましたが、何万もの紙ヒコーキが乱舞します。
その瞬間、観衆のボルテージは最高潮に達します。まさにお祭り。「紙ヒコーキ飛ばし」は歓喜の儀式といってもいいでしょう。
その光景は実に圧巻です。

このことからも、ライブは見るだけ聴くだけでなく参加してこそ楽しいんだ、ということがわかります。
「紙ヒコーキ飛ばし」という儀式をすることで起こるエキサイティングな瞬間が、一体感というエクスタシーを観衆にもたらします。
それはライブでしか味わえない醍醐味。ライブというお祭りに、エキサイティングな儀式を取り入れることでライブの楽しさが何倍にも大きくなるのです。

3-12>“色仕掛け”でコンサートへの「関心」を促す

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<12>


このコンサートへの集客作戦、名付けるなら“色仕掛け”作戦とでもいいましょうか。
といっても、お色気サービスではもちろんありません。

何をしたかというと、「音」と「色」のつながりに着目し、発表曲それぞれに「色」をイメージして曲作りをしてもらいました。作者には自分の作品にテーマカラーを設定するよう要請しておいたのです。
そしてプロモーション・メッセージとしては「アナタハ何色デスカ?」というフレーズを打ち出し、パーソナルカラー診断をする葉書サイズのフライヤーを用意しました。

人それぞれ血液型や星座があるように、人には独自のパーソナルカラーがあるので、自分がブルー人なのかオレンジ人なのか、グリーン人なのか、それを知りたくないですか?というわけです。
その結果、多くの人が「アナタハ何色デスカ?」という言葉の「フック」に関心を寄せてくれました。

フライヤーには、直径1㎝ほどの青・黄・赤・オレンジ・緑・黒の6色の「円」がプリントしてあって、どの色がその人にもっともエナジー(精力)をもたらす色なのかが調べられるようになっています。
といっても調べ方は簡単です。指先で順に6つの色に触れてみて、一番強いパワーやインスピレーションを感じた色がその人のパーソナルカラーというわけです。

ただし、この調べ方だと主観が入ってよくわからない、という人もいるかもしれないので、そういう場合は友達とか他の人に手伝ってもらって判断する「Oリング検査」という手法もありますよと案内しました。これも結構うけました。

「Oリング検査(テスト)」というのは古くから医学の世界では使われている検査で、親指と人差し指を強く密着させてOKサイン(環)を作ってもらい、その力の入り具合を別の人が確かめるという検査です。
もともとは薬品とか食べ物が、体に良いものか、悪いものか、体質に合かどうかを調べるために用いられたのが始まりとされています。

やり方はOリングにした手とは反対の手でいくつかの薬品とか食品に触れさせて、一番Oリングの指に力が入っているものを良いもの、合うものとして選ぶというやり方です。パーソナルカラー診断もそれと同じ方法です。

自分のカラーがわかったら次は性格診断。気になる診断結果はモバイルの専用サイトで見られるようにしました。
フライヤーの中には、そのサイトにつながるQRコードが記してあります。

さてここからが”色仕掛け”の本番。
携帯サイトにアクセスし診断結果を見ていくと最後のところに「おすすめの曲」のタイトルが出てきます。
「青色」の人なら「ブルー人のあなたのエナジーを高めるのは、青をイメージして作ったこの曲ですよ」という意味です。
もちろんそれは今回のコンサートで演奏される曲目です。

それまで縁のなかった曲が、こうしたコミュニケーション・デザインという仕掛けを施すことで、縁のある曲になります。
なかった「接点」が生まれるわけです。
パーソナルカラー診断という「フック」が、「期待」感を膨らませるわけです。

3-11>人にとっての最大の関心事とは何か

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<11>


こうした口コミを誘発させる楽しい仕掛けを作ってヒットを狙うマーケティングは「ヴァイラル・マーケティング」とか「バズ・マーケティング」と呼ばれていいますが、広い意味では「コミュニケーション・デザイン」という枠組みに入る考え方です。

前述した、コンサート後にロビーをコミュニケーション・サロンにするという案もそうですが、コミュニケーションのきっかけやネタを作るのは大切なことです。
「コミュニケーション・デザイン」の描き方次第で、コンサートの集客にも、CDの売上にも、プロモーションの成果にも、大きく影響します。

では、具体的に「コミュニケーション・デザイン」をどんなふうに描けばコンサートに関心を持ってもらえるのか。そんな一つの事例を紹介しましょう。

それは、大学主催の全曲オリジナル作品ばかりという年末恒例のコンサートでのこと。
演奏するのは地元では著名なオーケストラですが、曲は作曲コースの学生たちによる作品なので、だれも聴いたことのない未発表曲ばかりです。
そんな無名の作曲家たちが作った、馴染みのない音楽を、お金を払ってまで聴きに行こうという人はそうそういません。

であるなら、「関心」を持ってもらうことが先決です。そこで彼らの曲に「関心」をもってもらうための「きっかけ」を作ろうと考えました。

広告・マーケティングの業界では「関心」を引くための「きっかけ」を「フック」と呼びます。
「えっ、それって何?」と思わず振り向いてしまうような「注意」を引くアイキャッチや耳キャッチ、そして「興味」をわかせる仕掛けが「フック」です。
心に引っ掛かる何かを作らないと、どんなに素晴らしい商品でも当然ながら日の目を見ません。

そこで、「人って何に関心があるんだろう」、という素朴な問いからはじめました。
もちろん関心事は人それぞれでしょうが、最も普遍的で根本的な人にとっての最大の関心事は何だろうかと。

あなたは何だと思いますか?ちょっと考えてみてください。次の3つのヒントを参考に。
ヒント①…書店で2007年から2008年にかけてベストセラーになった話題の本といえば「B型自分の説明書」という書。その後シリーズ化され、O型やA型の本も出版され相次いでベストセラーになっています。
ヒント②…東名高速のハイウェイオアシス刈谷には、皆なぜか足元を見ている不思議な場所があります。足元にあるのは、この地域の巨大な航空写真。彼らがその写真の中から探しているのは自分の家、学校、職場だったのです。
ヒント③…みんなで撮った記念写真。まず誰を最初に見ますか?グーグルアースをはじめて使った時、最初にどこを見ましたか?

これがヒント。もうおわかりでしょう。
ヒント③のケースでいえば、ほとんど例外なく集合写真を見る時、「自分」「自分の家」を最初に見ませんか?
つまり、人にとって最大の関心事は「自分自身」。それが普通の人間の行動パターンなのです。

ちょっと前置きが長くなりましたが、この「自分自身への関心」、これをこのコンサート集客のための「フック」にしたのです。

3-10>来場記念カードをラッキーグッズとして配る

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<10>


さらに、来場記念カードにもう一工夫して、このカードの価値をもっと高める、おもしろいアイデアも考えました。
カードそのものをラッキーグッズ(縁起物)にしてしまおうというアイデアです。

ちゃんと神社に奉納し、「道が拓けますように」と、ご祈祷を受け、それを「道を拓く御札」としてプレゼントするのです。
できれば「道」にまつわる神話が残る神社がいいでしょう。
東海地方であれば三重県の『猿田彦神社』。この神社には、アマテラスオオミカミ(天照大神=伊勢神宮)の孫にあたるニニギノミコトが天(高天原)から地上へ降臨するときに道案内をした「サルタヒコ」の神が奉られています。
「迷いを断ち、道を切り拓く力を与えてくれる」、知る人ぞ知るパワースポットになっているようです。

突飛なアイデアだと思われるかもしれませんが、気は心ですから、そんなカードをもらえば誰だって悪い気はしません。
ラッキーグッズとしていつも身に付けてくれるのではないでしょうか。
それによって、みんなが迷いを断ち、元気になってくれれば、彼の想いは歌とともにより深く伝わることにもなります。
「道を拓く御札」をライブのおまけにすれば観客の満足度も印象度も高まるはず。

そしてもう一つ重要なのは、そんなカードがあれば、それがきっかけとなって口コミを誘発できる可能性があること。
カード裏面に御祈祷を受けた神社の謂れ(いわれ)を記し、それに関連したウェブ・コミュニティのURLやハシュタグを記載するだけで、たった一枚のカードが話題を生み出す、強力なコミュニケーション・ツールになるかもしれないのです。

3-09>コンサート来場記念の「おまけ」をプロモーションツールにする

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<09>

以前、ある男性シンガーソングライターと話す機会があった時も趣味や特技を聞いてみました。
すると彼は「書」が得意であることがわかりました。
そこで思いついたのは、彼の代表曲「道」のタイトルを毛筆書きしたカードをライブの「来場記念」にしようという案。
すでにアーティスト・グッズとして、その一文字をプリントしたTシャツはあったのですが、それは売り物。
終われば何も残らないライブに何か記念になる形あるものを「おまけ」としてプレゼントできないかと考えたのです。

「グリコのおまけ」の時代からずっと、人はおまけが大好き。
昔からおまけは商品の価値を上げ、満足度を高めるツールです。
ライブの来場記念カード(字葉書)もそれは同じ。印象を深め、満足度を高めるツールにできます。

北鎌倉に、その日のメニューを「絵献立」にして料理に添えている人気の和食処がありますが、ほとんどのお客さんは、その「絵献立」を持って帰るそうです。
記念に残るし、それをコレクションしている常連さんもいるといいます。

きっとその「絵献立」が口コミを生み出す強力なツールにもなっているはず。
まさしく商売繁盛の「切り札」というわけです。

ライブでもそれはできるはず。
一枚の小さな「おまけ」カード。それが満足度を高め、口コミを生み出す強力なコミュニケーション・ツールになるかもしれないのです。

3-08>趣味や特技を音楽家の特色として活かす

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<08>



音楽家がファンとコミュニケーションをはかり、関係性を深めていく活動。それも大切な音楽活動だと思います。
ブログ、Twitter、Facebookなど、いわゆる「ソーシャルメディア」が普及した今は、とくにそう。
そういう意味では、これからのライブは、ネットの世界でいうところの「オフ会」みたいなもの、そんな見方もできなくはありません。

普段はネットを介したバーチャルなコミュニケーション。時折開く「オフ会」としてライブがある。
それがリアルなコミュニケーションの場。
そして、ライブにみんなが集まってくれるかどうかは、普段のコミュニケーション次第というわけです。

ソーシャルメディアを使っている音楽家ならそういうことが感覚的にわかっていると思います。
ファンは音楽だけに関心があるわけではなく、音楽家の物の見方・考え方にも関心があって、日々どんなことを考え、どんな行動をしているかにも興味を持っています。
ブログに書いた他愛のない世間話でも、それをけっこう楽しみに読んでくれているファンは少なくないはずです。
また、ファンでなかった人でも趣味や嗜好が似ている、という理由でファンになることもあるでしょう。

だから、音楽の他にも趣味や特技があれば、そういうこともコミュニケーションのネタにすればいいと思います。
コミュニケーションのネタというと語弊があるかもしれませんが、音楽家の特色として趣味や特技をどんどん出していくということです。

3-07>ウェブで観客の「期待」「満足」「継続」をはかる

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<07>

ブログやウェブアルバム、SNSなどに記念写真をアップしたら、次に観客とのコミュニケーションを促すコンテンツを追加するのも忘れてはいけません。
例えば、アップした写真にコメントを一言添えるだけでもコミュニケーションは深まります。
とくに、コンサート直後なら「コンサートに来てくれてありがとう」といった感謝のメッセージは必須です。

でもそれだけではコンテンツとしてまだ弱い。そこでコンサートの裏話やエピソードなどを紹介するコーナーも作ってみる。そうすれば、「へエー、そんなことあったんだ」とコンサートの経験が来場者にとってより感慨深いものになるはずです。

「記念写真」をきっかけに、感謝のメッセージや裏話、エピソードなどを読んでもらうことで「コミュニケーション」を深め、「満足度」を高め、「口コミ」を誘発する。それが次につなげるということです。

次にもう一つ大事なことがあります。それはウェブを活用して「声を集める」ことです。
コンサートの後ならば、感想や意見を書き込んでもらう。コンサートの前ならば、要望やリクエストを聞く。
実はこれが一番大事なポイントです。
発信するだけではコミュニケーションではありません。「声を集める」ことではじめて参加意識が芽生え、親近感も増します。

コンサート後の感想や意見は次回のコンサートに活かせばいいし、また活かすことで「私の意見が採り入れられた」という「満足感」、さらには次回のコンサートに「私のアイデアが取り入れられるかも」といった「期待感」を高めることができます。

一方、コンサート前なら要望やリクエストを聞くことで「私のリクエストに応えてくれるかも」といった「期待感」や「参加意識」を高めることができます。
コンサートで披露する曲のリクエストを受け付け、さらにラジオ番組のようにリクエストした人のその曲にまつわるエピソードも一緒に投稿してもらってもいいでしょう。

曲にまつわるエピソードを投稿するということは、その人にとって貴重な「経験」になります。
もしあなたのコメントがそんなふうにステージで紹介されたらどうです?感動もひとしおだと思いませんか。

こうしたコミュニケーションを促す仕組みをつくり、「参加」や「経験」をしてもらう。
そうすれば「期待」→「満足」→「継続」という好循環サイクルが生まれます。

記念写真を撮ってウェブ上にアップしたり、コンサートの裏話を披露したり、要望やリクエストを受け付けたりするのは、好循環サイクルを作るのが狙いです。

3-06>「記念写真お撮りします隊」をロビーに配置する

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<06>

 「コンサートに行った」という事実は、来場者にとって記念に残しておきたい経験です。
よく、美術館に出かける人ならわかると思いますが、鑑賞し終えたらまっすぐ帰る人はほとんどいません。
みんな必ずといっていいくらい、ミュージアムショップに立ち寄ります。
なぜでしょう。

それは鑑賞したという事実を「記念」に残したいから。
もう少し「余韻」に浸っていたいから。
おみやげを「ネタ」にして友人・知人に感動体験を伝え、分かち合いたいから。
そういう顧客心理はコンサートでも同じだと思います。

だからといって、会場内に『ブルーノート』やシネコンにあるような売店を作ろうというのではありません。
もちろん仮設の売店をこしらえてもいいとは思いますが、そこまでできなくても、何らかの「記念」に残るアフターサービスならできなくはありません。

例えば、コンサート終了後に「ふれあいタイム」を用意して観客と演奏者の「記念写真」を撮るサービスをする。
それを観客との絆を深める活動(CRM=カスタマーリレーションシップマネジメント)に発展させることもできます。

以前実際にライブで「記念写真お撮りします隊」なるスタッフを配置し、出演者と観客の記念写真をどんどん撮るということをやってみました。
撮影隊にはその場で一枚のカードを手渡すよう指示。出演バンドのホームページのURLとそのQRコードを刷り込んだカードです。
そこにアクセスすれば、いま撮った写真が見られますよ、ダウンロードもできますよ、とアナウンスしたのです。

それは、観客との絆を深め、さらには口コミを伝播させることも狙ってのことです。
これをした頃は、ブログやウェブアルバム、音楽SNSの『My Space』などはありましたまが、いまやソーシャルメディアはさらに普及しています。
記念写真を撮れば、そうしたにソーシャル・メディアアップする人は必ずいるはずです。

3-05>コンサートの「余韻に浸る時間」を提供して満足度を高める

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<05>


「いねむりコンサート」は、すべての観客に音楽を同じように聴いてもらう従来のスタイルに固執せず、客席でまどろむもよし、ロビーで会食しながら楽しむもよし、と音楽の用途をいろいろ提案しています。

一つのコンサート、一つの会場にエンターテイメント空間もあれば、リラクゼーション空間もあり、コミュニケーション空間もある。観客はそれらの空間で自分なりの過ごし方を選べるのが、この「いねむりコンサート」というわけです。

では、それに習ってコンサート会場を「コミュニケーション・サロン=社交場」と位置づけたらどうか。演奏会が終わった後のロビーを使って。
演奏が終わるとそそくさと撤収。観客が余韻に浸る間もなく閉館。そういった主催者の都合優先になっているのを見直すのです。

なぜロビーをコミュニケーション・サロンにするといいのか。
理由はいろいろですが、その一つは観客の気持ちを考えればわかります。
コンサート中、観客はずっと黙って音楽を聴いています。
人はそういう会話のできない状態に長く置かれると、会話欠乏症の状態になります。

連れ合いの人や会場で出会った知人らとコンサートの後に語り合える場を用意し、コンサート後の「たむろする時間」、「余韻に浸る時間」を提供するのです。
それはコミュニケーションが欠乏した観客に潤いをもたらすひと時となり、観客の満足度を高める経験プログラムになります。アフターサービスといってもいいでしょう。
しかし残念ながら、ほとんどのコンサートにはそんな時間がないのが実情です。

ロビーで写真展を開くとなれば準備も大変でしょうが、会話と余韻を楽しむ時間を少しとってあげるくらいのことなら、そんなに難しいことではないはず。
そんな「たむろする時間」「余韻に浸る時間」をさらに有意義に使うこともできます。例えば、出演者と観客との「ふれあいタイム」にするとか。

言われるまでもなく気の利いた出演者はステージ終了後ロビーであいさつをしたり、観客といっしょに記念写真を撮ったりしています。そういうアフターサービスが「次」につながることを知っているからです。
そんな「ふれあいタイム」がきっかけとなって、CDの販売につながったり、ファンが増えたりするからです。
こうした「ふれあいタイム」もまた経験プログラムであり、コミュニケーション・プログラムです。
それを用意することで観客の満足度は高まります。当然、それが次回の集客を左右することになります。

3-04>不眠症でお悩みなら「いねむりコンサート」はいかが

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<04>

こうした参加型プログラムはコンサートにおける「経験プログラム」の一つです。
何を見せるか聴かせるかという「ステージプログラム」のみならず、来場者にエンターテインメント空間としての会場でどんな経験をしてもらうのか、それが「経験プログラム」です。

例えばクラシックコンサート会場で「音楽を聴きながらでうたた寝するのが最高に気持ち良い」という人に対し、その「最高に気持ちの良いひと時」を気兼ねなく満喫できるようにしてあげる、それも経験プログラムです。

時おり睡眠に関するアンケート調査の結果が新聞などで発表されていますが、睡眠不足や睡眠障害を感じている人は少なくないようです。
ストレスの多い現代人は快適な「眠り」を求めているわけで、それは世の中の大きなニーズなのです。

そういうニーズに応える商品やサービスの一つとして快眠を促すCDなどもいろいろ市販されています。ならば寝不足や睡眠障害を解消できるコンサートがあってもいいわけです。

そんなことを前々から思っていましたら、実際にありました。「うたた寝」大歓迎というコンサートが。
その名もずばり、『いねむりコンサート』。音楽家の佐藤慶子さんが企画・出演している実にユニークなコンサートで、モーツァルトやブラームスの子守歌をはじめ、佐藤さんのオリジナル曲「ねむたくなって」、「星の枕」など、うっとり気持ちよくなりそうな曲を中心に構成されています。

さらに、このコンサートがユニークなのは第二部から。演奏者はステージを降りてロビーに移動。観客はワインやコーヒー、おつまみ片手に楽しむスタイルになります。ロビーがライブカフェに早代わりというわけです。

一方、客席は居眠りしたい派の仮眠室となります。ほのかな照明だけのホール内は居眠りにはうってつけです。
しかも、ロビーの演奏の模様はスピーカーから静かに流れ、舞台上のスクリーンにも映し出されるといった配慮。
まさに、至せり尽くせりといった感じです。

気分しだいでロビーとホールを行き来することもできるので、一つのコンサートで二通りの楽しみ方ができます。いや、第一部も含めれば三通りの楽しみ方ですね。まるで、一食で三度おいしい「ひつまぶし」のようなコンサートです。

3-03>「参加型プログラム」が観客動員の呼び水に

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<03>

言ってみれば地元の人たちの本音は「シャンソン・ミュージカルなんてよくわからないし、あまり関心も無い」。
それに「なぜ港でミュージカルなの?シャンソンなの?」「それってどんな内容なの?」なんて疑問もあったでしょう。
そんな疑問の答えとして、「開幕太鼓」と「写真展」という二つのプログラムはうってつけでした。

どんなミュージカルなのかくどくど説明するよりも、何のためのイベントなのか、ミュージカルなのかを理解してもらうためには「開幕太鼓」や「写真展」の方が具体的でわかりやすい。
しかも、それがあることで、このイベントに参加しやすくもなります。
「開幕太鼓」に出演する人や「写真展」の出品者が増えれば増えるほど、その関係者が会場に足を運んでくれるわけですから、結果、それが観客動員に結びつきます。このイベントの大きな成功要因になりました。

この事例からもわかるように、「みなとフォーラム」では「開幕太鼓」や「写真展」といった参加型プログラムが動員の呼び水になりました。「第九方式」のメカニズムが働いたわけです。

とはいえ、実は、はじめから「第九方式」を想定していたわけではありません。「平和と絆づくり」というテーマを掲げた結果として「第九方式」のメカニズムが働き、それが功を奏して動員に結びつきました。
明快なテーマを掲げ、そのテーマに即した参加型プログラムを作ることの大切さ、それを再認識させられたイベントでした。

3-02>音楽イベント集客に効く「第九方式」とは

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<02>


「出演者が多ければ来場者も増える」というこの法則。これを「第九方式」と名付けているのですが、この第九方式をコンサートの集客策として使うときがあります。

やり方としてはコーラスの人たちを大量動員するというのが通常の「第九方式」なのですが、以前、シャンソン・ミュージカルをメインイベントにした「絆」がテーマの交流イベント「みなとフォーラム」を企画した時それを少しアレンジしました。

どうアレンジしたかというと、オープニングを飾る「開幕プログラム」と、ロビーでの「交流プログラム」、この二つのプログラムを用意したことです。

まず、オープニングのプログラムには「開幕太鼓」として百人近い地元の和太鼓チームに出演してもらいました。勇壮な太鼓はオープニングの景気づけに最高です。

一方、ロビーでは地元の人たちから港界隈の昔懐かしい写真を集めた「昔のみなと写真展」を開催、一般解放しました。この写真展では、ありがたいことに、カメラ暦50年という地元で商店を営む出展者の一人が、会場で解説員として一役買ってくれました。おかげでロビーは地元の住民や港で働く人たちが集い、昔話に花を咲かせるコミュニティサロンになったのです。

この副次的な二つのプログラムが、フォーラムへの動員を助けてくれたのは言うまでもありません。
なかなかシャンソン・ミュージカルではピン来ない人が多いということは、地域の挨拶まわりでわかっていたので、それをどう解決するかが課題だったのです。

3-01>師走の「第九」コンサートはなぜ盛んになったのか

第3章~参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵~<01>


日本の師走の恒例行事といわれるほど全国各地で盛んに開かれる「第九」コンサート。
大規模なものでは1983年から毎年「大阪城ホール」で開かれている『サントリー1万人の第九』といった、天を揺るがすような大合唱もあります。
総監督・指揮は現在二代目となる佐渡裕さん。毎年、著名なゲストを迎え、07年は中島美嘉さん、10年、11年は平原綾香さんといった実力派シンガーが参加。さらに被災地・仙台の合唱団200人も現地から中継で加わり、鎮魂と復活を祈って高らかに歌い上げました。話題性も高く、名実ともに日本一の規模と人気を誇る「第九」コンサートです。

でも、なぜ「第九」コンサートがこれほど盛んになったのでしょう。もちろん、聴衆の心に響く「第九」の音楽的な魅力が大きいというのは当然あるのでしょう。
しかし、それ以上に「第九」コンサートは出演者にとっても魅力ある音楽イベントです。なぜなら、普段めったに味わえない、二つの「感」を強く感じられるからです。

一つ目の「感」、それは大合唱による「一体感」。みんなで心を一つにして何かに取り組むなんて、大人になってからはなかなか経験できることではありません。
社会学者デュルケムは「集合的沸騰は人が経験しうる最高の至福」といいますが、この「集合的沸騰」とはまさしく一体感による気持ちの高揚です。そんな至福の時を味わえる希少な機会。それが「第九」コンサートへの参加というわけです。

二つ目の「感」は歌いきった後の「達成感」。叱咤激励したりされたりしながら、練習を積み重ね、最後に大舞台で感動のフィナーレを迎える。そんな明快な「ゴール」が、「達成感」をもたらしてくれます。
出演者に「一体感」と「達成感」をもたらすことが「第九」人気の要因と考えられますが、ただ、ビジネスの視点からすると、「第九」が盛んに開催されるようになった理由はもう一つあります。「集客が見込める」という理由です。

なぜ集客が見込めるのか、それは数百人、数千人もの人たちが出演するということを考えればわかりますよね。出演者が多ければそれだけ見に来てくれる家族・親類・友人・知人も多くなる。これが大きい。だから「集客が見込める」というわけです。
一説によると、「第九」コンサートが年の瀬の恒例行事として日本全国で開催されるようになったのは、実はオーケストラの楽団員たちが越年資金を調達するためだったとか。つまり「集客が見込める」から実入りも確保できる、よって餅代が稼げるという計算あってのことだったといいます。

2012年2月15日水曜日

音楽Businessクイズ80Q

音楽効能クイズ(1章.2章)に続いて、音楽ビジネスクイズを80問を用意しました。気になる項目から本文へと、進んでみて!

■第3章>参加・経験・コミュニケーションはステージ・ビジネス成功の鍵

01師走の第九コンサート、全国で盛んになった理由は?
02集客に効く「第九方式」とはどういうこと?
03コンサートの直後、人は「●●欠乏症」になる。「●●」に入る言葉は何?
04人類共通、人が最も関心をよせる対象とは何?誰?
   ※ヒント=「グーグルアース初めて使った時、どこを見た?」「クラス写真、最初に見るのは誰の顔?」
05観客が一体感を味わえるお祭り騒ぎのある藤井フミヤのライブ。そこで一斉に飛ばす「あるもの」とは?
06】木工芸村の森の音楽会。開場前、子供たちは間伐材であるものを作ってから参加。何を作った
07】日本一の●●●の名産地・和歌山県「みなべ川森林組合」が作った楽器。その材料●●●とは何?
08】舞台スクリーンに流した字幕を演奏終了後もずっと見続ける観客が続出。どんな類の字幕
09】もしコンサートで客席に『イエスorノーうちわ』を配置したら、観客と舞台で何をはかれる?何ができる?
10】「スターダスト・レビュー」の25周年記念コンサートで、ある記念になる事をフリーにした。それは何
11】観客動員を回復させたプロ野球チームが行った、選手と観客の試合前の●●●●タイムとは
12】舞台衣装や道具が見られる有料バックヤードツアーもある本場ニューヨークのエンターテインメントは
13】リッチな旦那衆は大枚払って桟敷席、でも一幕だけ見られる格安の幕見席も。その伝統芸能とは
14】観客同士のコミュニケーションでリーグトップの動員を誇る阪神。その独特の2つの応援スタイルとは
15】アキバ系アイドルファン同士のコミュニケーションにもなっている独自の応援スタイル。何芸という?
16】「チャーリーとチョコレート工場」上映館の一部で「●●発生装置」を使い臨場感をアップ。●●とは
17】観客が参加できる人気のアフリカンライブ「ドラムストラック」。その全客席に置いてあるものは何?
18】チケットもぎ、プログラム配布、荷物預かり…、大小様々な「顧客●●」により満足度は左右される。
19】会場来訪時やチケット購入前に人々が感じる可能性がある「不」の付く言葉を思いつく限り書き出そう。

■第章>音楽の用途と接点をデザインする

20】1998年のピーク時には5879億円だった日本のCD生産金額、2010年までに約何割ダウンした
21】高齢化社会は懐かしいモノやコトを消費する「●●●マーケット」が膨らむ社会。●●●に入る言葉は
22】あの昭和の大スターの数々の名曲からマイベストCDが作れる、京都・嵐山の観光名所といえば
23】ぬいぐるみを「買う」ものから「獲る」ものへと価値を転換。市場規模を急拡大させたマシンの名前は
24】熟睡クラシック・活脳クラシック・感涙クラシックのCDは、●●をコンピレーションしたアルバムの一例。
25】創刊号62万部。ディアゴスティーニ「青春のうたベストコレクション」は●●●消費を喚起しロングセラー
26】子供が歌って踊って楽しめるのが、その曲の用途。ライセンス商品も300種以上。そのキャラクター名は
27】人は自分との「●●性」を感じた歌やアーティストを好きになる。●●性とは何
28】新曲制作に先立ちジョイサウンドの携帯サイトで一般公募した「ライムライト」。何を公募した
29】「感情を込めないで歌う」フィギア実写版のような位置付けでアキバ系から萌え広げた3人組ユニットは
30】歌う「操りアニメ」として脚光を浴び、楽曲制作(DTM)ソフトとしては異例の大ヒット。そのソフトとは
31】「アブソーブ」はネットで「桜ノ雨」の吹奏32パートとその音源を募集し合成。それを何合奏という
32】子供の頃、未来の自分宛てに書いた手紙をもとに作られ、その年代から共感を得てヒットした曲とは
33】クラシック曲をカバー。話題作りと同時にクラシックファンとの接点作りにもなった。その歌手と曲名は
34】空腹こそ最高に美味しいごちそう。では、何が空いていると、人は音楽を美味しく感じられる
35】ネットワーク社会の音楽ビジネスは、「プロモーション」以上に「●●●●●●ション」の観点が大切に。

■第5章>音楽はタイアップと共感で売る

36】売れない曲芸師が少年の助言であるものを取り入れた途端、周りから注目されるCM。あるものとは
37】音楽ビジネスの本質は、「手を結ぶことでお互いを高めあう」こと。それを英語で何と言う
38】日本が世界に誇る●●●とセットで和製音楽をもっと輸出しようというクールジャパン戦略。●●●とは
39】物語と音楽がタイアップすれば音楽に世界観が生まれる。「●●マーケティング」ともいわれる手法。
40】「フェルメールとオランダ・フランドル絵画展」のテーマ曲に採用された東大生6名のグループ名は
41】地元の産物を地元で消費するのは「地産地消」。ご当地ソングを作って地元で歌うのは「地産地●」
42】広島県・庄原市役所では出生のお祝いに音楽をうまく使っている。粋な、そのはからいとは、どんなもの
43】先人の言葉や物語を後世に遺す「●●力」を持つ音楽。平和の大切さを伝える「語り部」にもなりうる。
44】2009年7月、自然が織りなす奇跡的な「トキ」を呼び物に成功した奄美の音楽祭とその自然現象は何
45】結婚式、夕暮れ時、テーマパーク、人が集団で頑張っている場―、そんな特別の状況では何効果が働く
46】無名アーティストのコンピレーション・アルバムが店頭セールスで60万枚!売ったチェーン店はどこ?
47】音楽を「ついで買い」する音楽●●層。支持政党のない人たちも同じく●●層。この●●に入る言葉は
48】コーヒー香る寛ぎのシチュエーションでコンピレーションCDを売ったのは、どんな店
49】作品ありきの「プロダクトアウト」型プロデュース、逆にチャネルやシチュエーションから考えるのは何型
50】番組タイアップ曲がヒットしにくくなってきたのはなぜ
51】CDにレターセットを付け、「愛する人に手紙を書こう」と呼びかけ話題になった曲名とそのグループは
52】新曲の歌詞に700種類の名入れバージョンを用意し、選べる着うたとして配信したグループは
53】「You TubeがCD購入のきっかけになった」と答えている男子大学生は何%くらいいる
54】ほとんど知られていないアーティストばかり出演するのに高視聴率をあげていた歌番組とは
55】歌の背景にある物語やエピソードが共感され、06年に紅白初出場。そのヒット曲は
56】グルメ、アイドル、キャラクター、ブランドの頭につく3文字。●●●ソングというのもある、●●●とは
57】秋元康流ヒットの秘訣は、クリスマス・卒業・バレンタイン等「歌詞に季節の●●●●を取り入れる」こと。
58】惑星探査機はやぶさファンの心を捉えたジミーサムPの歌。満身創痍のはやぶさを何に見立てたPV
59】ステージで「目撃」「発見」した事をSNSに投稿したいから●●●劇場へ通う、というファン心理も。
60】フィーリング共感、スタイル共感、コンテキスト(文脈)共感。3つの共感を見事獲得した世界の歌姫とは
61】消費行動の根底には気付いていない「下心」が少なからずある。では音楽を買う「下心」には何がある
62】音楽家でない人やキャラクターや作品をトリビュートしたアルバムにはどんなものがある?
63】故・柳ジョージ氏の「酔って候」は著名な歴史小説家の著書名をそのまま曲名に。その小説家の名は
64】音楽を売るためのシナリオ。そのシナリオを構成する4つの要素とは何
65】ある状態になった親の気持ちを綴った樋口了一氏のヒット曲「手紙~親愛なる子供たちへ~」。何状態
66】紀州藩の卑劣さを歌にして長崎で流行らせ世論を味方にした坂本竜馬。それは何事件
67】収録曲を公募。選定曲の投稿者全員の名をアルバム添付のブックレットに掲載した女性シンガーは
68】新曲「遥か」のPVに出演するエキストラをサイトで募集した、人気の4人組男性グループは
69】架空人物のプロフィールを克明に描き出し、その人物に向けてプロデュースするのを何手法という
70】音楽の消費層を4つに分けると、どんな層がある
71】廃校になる小学校、最後の卒業式。1人の卒業生のために10人の在校生と共に歌ったアーティストは
72】「音楽は●●芸術」で「音楽ビジネスは●●●●●ビジネス」。

■エピローグ

73】駅に楽しい階段が登場。以来、エスカレーターを使わず階段を利用する人が急増。それはどんな階段
74】地元を愛する根っからの名古屋人をアピールするために歌を流しながら選挙の遊説。その歌とは
751969年当時アメリカで40万人以上を動員。ヒッピー文化と反戦を象徴した伝説の野外ロックフェス
762011年はシングルCD国内売上が10数年ぶりに前年比超え。その理由とは
76】ソーシャルメディアの普及で、従来のトップダウン式流行パターンとは逆の●●●アップ式が増加傾向。
77】仲間と一緒に見つけたアーティストを一緒に応援する傾向が強まり、どんな現象が起きている
78】「好きな音楽で食っていく」知恵としての3つの価値デザイン手法。それは何と何と何
79】人の購買動機として、様々な「●●消費」がある。●●に入る言葉にはどんなものがある(複数回答)
80】「好きな音楽で食っていく」知恵とは、音楽を媒介にして、何と何をマッチングさせること